あおぞらカルテ
当直をしていた深夜1時。

酔っ払って暴れていた意識障害の患者さんがひと段落ついて、診察室を出たところだった。


「すみません…あの、診察してもらえませんか?子供が急に胸が痛いと言いだして…」


城東医大病院の救命センターは基本的に、救急車の受け入れか、電話相談があった患者さんの対応だけだ。

急にやってくる患者さんも少なくはないけど…正直、あまりいい気はしない。

受付にいたのは、20代くらいの母親と、泣き叫ぶ子供。

帰すわけにはいかないから、とりあえず診察室に入ってもらった。



谷中靖人くん、7歳。

突然の胸痛で、母親につれられて受診。


「いつから痛がり始めましたか?」

「…えっと…1時間くらい前からです」

「1時間前?何かしていましたか?」

「いえ…突然のことで」

「そうですか」


少し泣きやみ始めたはるとくんは、ベッドの上でうずくまっている。

うーん…確かに痛そう。


「はるとくん、どの辺が痛い?」


聞いてみたけど、まだしゃくりあげててわからなかった。

押さえてる場所は脇腹。


「ごめんね、ちょっと見せて?」


そっと服をまくりあげると、青紫色のアザ。

…ん???


「お母さん、これ、どうしたんですか?」


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