あおぞらカルテ
もう朝になっていた。


「おーい、道重。当直抜けだして、またやらかしたらしいじゃん?」


救急医1年目の先生が笑いながら出迎えた。

救急車から降り立つと、朝の涼しい風。


「やらかしたって…言い方悪いですよ」


後から歩いて降りて来たのは、救急隊だけ。

負傷者、オレ。


「しかもカッコ悪~。警察の取り上げた包丁が飛んできて当たった?それって最強に運が悪いなぁ」

「笑いごとじゃないんですけど」

「そうだなぁ。外科医の右腕に傷がつくと一生ものだ~。ま、その場所なら大丈夫か」

「いや、外科医になるって決めてるわけじゃ…」

「はいはい。そこ座んな。あ、先生、痛み止めなしで縫合していい?そうだなぁ5針ほど」

「はぁ!?勘弁してくださいよ!!」


全治1週間、右上腕の切創。

こんな傷はすぐに治る。

けど、あの家族は…いつ修復される?

はるとくんの心の傷は??


「…いってぇ!!」

「道重先生、痛がりさんだなぁ。看護師さーん、鎮静剤打って寝かしてやって!」

「おい待て!!」


今日も救命センターはドラマチックに1日が過ぎていく。
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