悲観のブルーダイアモンド


ルイーズエリザベート
美女としてこの世に君臨し何十人もの
男に求婚されて何百人もの人々から
愛され求めるものを全て手に入れ
この上ない幸せを手にしていた。

恋愛など不要で遊びだとすら考えていた







…どうして偽名なのか。私は聞きたかった。
どうして私の事を知っていて
どうして私が後ろにいる事に気づいたのか。


けれど言葉が出てこなかった。




ジャックの瞳は悲しく澄んで
私をとらえていた。


それからジャックは1人で話し始めた。
また空を見上げ私に背を向けて。


“月は太陽借りなきゃ輝く事ができないと。”
その背中は泣いてるようにも見えた。



話の途中で
私を探しに来た執事により
本館へ戻らねばならなくなった。


「さよならフランソワ。」
「さよならルイーズ嬢」


シャンパンゴールドのドレスを持ち上げ執事と共に彼の元去った。



本館では先程と同じように
宴が行われていた。
みな酒を片手に私がいなくてもお構いなしのようだ。

もうパーティーに戻る気すらなくなり
ウエストも限界だったので
部屋に戻る事にした。
御母様はお話に夢中で会話の合間さえなく
執事に部屋に戻るとだけ伝え
1人部屋に戻った。


それにしてもジャックが気になって仕方ない。
超能力者だとしたら
国の運営に危険を脅かす。
彼が仲間どうかさえ分からない。
他国の刺客の可能性も十分にある。


緑色の透き通った瞳が瞼に焼きつき離れなかった。


翌日もパーティー行われるそうで
来客は第二館に宿泊されるらしいと
メイドが教えてくれた。

ジャックが宿泊してるかもしれない。
しかし、王女が第二館に立ち入れるわけがない。
残念な事に我が城の警備は万全である。


本館を出ることさえ不可能で、
見つかって部屋に戻される事が目に見えていた。

恐怖心とは裏腹に興味深くて
彼を知りたい気持ちが強くなっていく。

こんな気持ちは生まれて初めて。


この日は月を見ながら考えることしか出来ずに
眠りについた。




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