薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~
「お待たせ、静寂」
いつもの様に闇にとける黒着物を纏った結斗様。
腰には愛刀が入った鞘を下げている。瞳はいつもの如く冷静で、冷徹、非情。雰囲気は冷たき闘志を放つ。まさに闇の住人を狩るに相応しい。櫻澤家次期当主として相応しい。
そんな結斗様にいつもいつも惹かれ、羨望を抱き、熱き感情へと成り変わる。それを抑えつつ、孤独な瞳と自分の瞳を合わせる。
「いいえ。そんなの構わないわ、結斗様。さぁ、参りましょう」
闇の世界へ何処までも、深く深く。闇をも侵食する鮮血で、世界を染めに。結斗様という存在を知らしめに。
「ああ」