薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~


そんな願いが通じたのだろうか。


私のものでも結斗様のものでもない鮮血が飛んだ。


そう。それは妖のものだ。一瞬にして、真っ二つにされた妖の血が結斗様に私に降りかかる。


大きな巨体の上部分はそのまま落下し、下部分も共に崩れ去っていった。そうして砂化し、消えて行った。


それは私にささった足も一緒だ。それと同時に血液でも出るかと思ったが、出ない。


何故なら……。



「危ないところでしたね」



身体が傾きかけていた私の血を止めてくれた女性がいたからだ。
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