薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~



理事長室の入口である扉を開き、入ってきた藤岡紫音ちゃん。それは昔より成長し、可愛らしくなった少女だった。


黒髪のセミロングも、黒目も変わらない。が、足も、背も大きくなった。昔は発達していなかった胸も小さいながらに膨らみ、体つきも女性特有の柔らかさを感じさせる。顔立ちも大人びた。一つ一つ注意深く見ると、成長したところ何個も何個も発見でき、嬉しい限りだ。


きっと結斗もたくさんの変化をしていたことだろう。あの子が負った怪我のことに気がいってしまったから、我が息子の成長の嬉しさに浸ることはできなかったが。


彼女が入ってきたのに、座ったままは失礼だ。だから柔らかさと高級さばかりの椅子から立ち上がり、歓迎の姿勢を見せる。


私の態度に戸惑いを感じるだろう。


やはりまだ子供だ。大人の手が必要な。ではそんな彼女に手を借りようとしている私はいったい何なのだろう。みっともない大人、だろうか。



「御免なさいね、呼び出しちゃって」



「いえ。何が御用ですか」
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