薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~
ノックする音。
嗚呼彼女が来たのか。
「どうぞ」と平静を装った声音で言う。微かに震えているのを悟られないように。
まだ不安なのだ。決意をしたのはいいが、これが正しい行いなのか、自分では分からないから。
どうやら私は結斗とあの子に関してのことになると弱くなるらしい。1度過ちを犯してしまったからであろう。あの子たちの前で。だからより不安感が煽られる。が、ここまで来たら、自分の意思を貫き通すべきだ。自分の気持ちを確認したうえで、大きく深呼吸をした。
「失礼します」