薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~
現在、少女の部屋には姉の紫華と部屋の主である少女だけだった。
先程までいた少年は少女を布団の中に眠らせた後すぐ様に引き上げ、外へと出て行った。
紫華の溜息が漏れた。
おそらくもう隠せない。そんな思いが彼女の中で横切っているのだ。
少女は決意するだろう。
少年の姿から判断し、少女は助けられた。少女の性格を知っている紫華は、妹が少年に負けないよう訓練を行いたいということが目に見えていた。
少女はすぐに吸収していくだろう。同い年の少年の後ろ姿を見て。
そうするうちに少女は知らなければならなくなるのだ。
少年の家と紫華、少女の家の関係を。そうして絶望することになる。そんな少女のことが姉の紫華は哀れに思えてならなかった。
そんな理由からずっと紫華は何度も何度も溜息を漏らしていた。
何度目かの溜め息を漏らした時、紫華の妹―――藤岡紫音《ふじおかしおん》は目を覚ました。