薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~
櫻澤本家邸から徒歩20分という遠いとも近いともいえぬ場所に目的としている山が存在する。そこに兄たる紅華は居座っているのだ。妖と化してしまった兄が。尊敬していた兄が。


妖が住んでいるといわれても納得してしまうほどに不気味な山は、白い靄のようなものがかかり、先が見えない。それがさらに神秘的な雰囲気を醸し出し、これから起こるかもしれない予測不可能な出来事にさらなる不安を呼び起こす。だが……隣にいる護衛である霧澤静寂、そして幼いながらに恋心を抱いた相手藤岡紫音がいれば、そのような恐怖だって消えてしまう。



ならば行こう。兄が苦しんでいる場所へ。救いに行こう。兄の魂を。
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