薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~



捨て台詞のように言葉を紡いだ後、静寂は外から閉められた鍵を開ける。そうしてドアノブをもち、ひねる。そのあとで手を離すと自然にドアが開く。そこから現れたのは結斗と静寂のクラスメイト紫音が現れた。



「貴女も入りなさい。

 どうせ何も知らなくてただ見るだけしかできない娘なら私の見えるところに居られた方が楽だわ」



その口調は紫音が昨日話した静寂とは似ても似つかない口調であった。まるですべてを冷酷に突き放すかのような。


丁度その時特定の人でしか聞こえない妖の叫び声が響く。そのあと真紅の血しぶきが舞い、真っ二つにされた塊が屋上に落ちる。それと同時に物体の魂であったものも物体から抜け出した後、天に上って行くこともせずそのまま粉砕した。
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