薄紅の花 ~交錯する思いは花弁となり散って逝く~



「ああ、静寂。
 
 あれ?藤岡さんもいたんだね。大丈夫だった?」



おそらく彼は紫音が静寂の横で見ていたことに気付いているだろう。しかし彼の言葉は実に自然にわざとらしさがなかった。



「うん」



「そう。よかった」



結斗の言葉に含まれた安堵にも似た感情も実に自然で違和感がないものだ。おそらく本当に心配していたのだと感じられる。



「結斗、帰ろっ!
 

 早く帰んないと本当に怒られちゃうよ」
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