プラチナ・ラブ


生まれてくる我が子へ――


予定日までもうすぐ。

君が生まれてくるのをずっと心待ちにしているよ。

君が女の子だと分かってから、お父さんはずっと君の名前を考えてきたんだ。

画数とか、本を見ていろいろ考えたんだけど……やっぱり、自分のピンときたものを名前につけようと思った。

まず初めに思い付いたのが“花”。

花のように心が美しく育つようにと願いを込めて。

そして“音“。

お父さんはね、音楽が好きなんだ。

特にクラシック。

だからお父さんの好きなものを君の名前に入れようと思った。

二つ合わせて”花音”。

お父さんがいろいろ考えた結果だ。

昨日、お母さんにもこの話をしたよ。


……花音。


お母さんは多分……君のことを愛することはないかもしれない。

……元々、お母さんは子供が好きじゃないんだ。


でも、大丈夫。


その分もお父さんが目一杯君のことを愛してあげるから……。


いつか君に大切な人ができて

大好きな人と結婚して

君にそっくりな子供が生まれても……


お父さんは死ぬまでずっと君のことを愛してるから。


だから……安心して生まれておいで。


お父さんは誰よりも君の誕生と幸せを願っています。


父より

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