プラチナ・ラブ

……ちゃんと決めた。

これからあたしがどうするか……。

どうしたら良いのか……。


「……あたし、一回学校に戻ります」

「……え?」


大翔と瀬和さんが揃ってあたしの方を見た。


「どうしたの?忘れ物?
それなら、一回戻るけど……」

「そうじゃなくて……」


あたしは大翔と瀬和さんの顔を交互に見た。


「あたし……ちゃんとけじめをつけてこようと思って……」


このままじゃダメだから。

はっきりさせてこようと思う。

そして、あたしのこの決心を……伝えてこようと思う。


この世で唯一の……あたしの肉親に。


信号が変わって動き出した車はそのまま少しだけ前進して……静かに路傍に停まった。


「……行っておいで。
きっと……小百合も待ってるだろうから」


瀬和さんは笑顔でそう言ってくれた。


「……はい。
ありがとうございます」


そう言って、あたしは隣に座っていた大翔の方を見た。


「大翔……お願い。
大丈夫って……言って」


あたしがそう言うと、大翔は少し驚いた顔をしながらもすぐに優しい笑顔を見せ、あたしの手を握りながらまっすぐ目を見て言ってくれた。


「……大丈夫。
花音なら……絶対」


不思議だけど、その言葉だけで本当に何もかも大丈夫な気がしてくる。

……あたしは笑顔で大きく頷いて、車から飛び出して学校へと走った――

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