女神湖伝説(ラジオドラマ)

ああ失敗

勝どきが遠くで続いている。
(カズ)「アキ姫、前田殿はあそこに」
(アキ)「あっ、あそこね」

砂利を歩みだす音。
(カズ)「前田殿」
(利家)「これは清洲殿。残念じゃ、義元が首取れなんだ」
(カズ)「わが殿が貴殿に相談あり申す」
(利家)「何?相談とな?」
(アキ)「前田殿、御免!」

乱れる足音。甲冑の音。
(利家)「何をなさる、清洲殿」
(アキ)「御免。オーイクモ!」

3S瞬間出現の音。ボヨヨーン。
(四人)「それっ!」

3S一気に遠ざかる。ウィーン。

洞窟。水の雫の音が響いている。
3Sが近づく音。ホーバリングの音。
ドアが開きステップが下りて、
五人が転げ落ちる音。

(仙人)「おっ、戻って来よったな」
(利家)「ややや、ここはどこじゃ?」
(カズ)「地の底の砦にござる」
(利家)「今川の者か?」
(ヒデ)「今川ではござらぬ」

(利家)「わしを桶狭間へ返してくれ。わしは信長殿に
嫌われておるのじゃ。手柄を立てねばならぬのじゃ!」
(皆)「・・・・・」
(仙人)「アキ姫、このお方がアキ姫の一目ぼれのお方か?」
(皆)「・・・・・」

(アキ)「ちょっと違うみたい」
(トラ)「まだ戦は続いておりまする」
(カズ)「前田殿!急ぎ帰り支度を」
(仙人)「わしが送っていく」

3Sが来る音。ウィーン。
ドアが開きステップが下りる音。
(仙人)「さ、前田殿!」
(利家)「かたじけない」

3Sの飛び去る音。

(アキ)「皆、ごめーん!」
(トラ)「難しいと思うよ」
(ヒデ)「そうだよな」
(カズ)「姫、諦めてはなりませぬ。あと
四百年あります。がんばりましょう!」
(ヒデ・トラ)「がんばりましょう!」
(アキ)「ありがとう、みんな!」

3Sが戻ってくる音。ドアが開きステップ
がおりて、仙人が落ちる音。ドサッ。

(仙人)「ああ、疲れた。・・・姫!」
(アキ)「ごめんなさい」
(カズ)「我々が付いておりながら、誠に申し訳ない」

(アキ)「彼らは悪くないの。慌て者の私が悪いのよ。
叱らないでください。今度はうまくやりますから」
(仙人)「あと四百年もありますぞ」

(アキ)「全てはこれからです。今までのはウォーミングアップ
ということで。ね、みんな!」
(カズ)「ははっ、これからが本番だと思われます。
我々も心して姫をお守りいたします」

(仙人)「ようし分かり申した。では少し飛ばして、
天界の第三指令に入る。新撰組、池田屋騒動じゃ」
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