女神湖伝説(ラジオドラマ)

新撰組

大きな電源スイッチの入る音。
大画面が起動する音。

(仙人)「これが京の町。鴨川の西北角、ここに池田屋がある。
長州が京都を火の海にして天皇を誘拐するという極秘情報を得て
新撰組は総力を挙げて長州テロリスト集団を探しておった。

近藤、沖田以下十名が四条から木屋町筋を北上。土方以下二十四名が
祇園を探索して池田屋で落ち合うことになっている。姫と和之進は
土方隊に付いて行け。秀次郎と虎之助は近藤隊と共に池田屋に入れ。
くれぐれもすぐには切り殺されぬように」

3S発進、遠のいていく音。

鳥の鳴き声。寺の鐘の音。
犬の遠吠えが聞こえる。
砂利道。忍び足の音。

(近藤)「間違いない。おるぞ国賊長州が」
(ヒデ)「二十人くらいか?」
(トラ)「そんなもんじゃろう」

(近藤)「二階の奥が一番怪しい。踏み込んだら、
わしら四人は上へ駆け上がる。お前達三名は下。
他の三名は逃げる者を追え」

(全員)「はい」
(近藤)「よし、踏み込むぞ!」

開き戸を開ける音。
(近藤)「新撰組だ!御用改めでござる!」
(主人)「あああ、皆様方!御用改めでござりまする!」
(近藤)「ええいどけっ!やはり二階だな」

寺の鐘の音。犬の遠吠え。
砂利、二十四人が歩く音。
(カズ)「土方さん!池田屋が!」

はるか遠くの声。
(声)「新撰組だ!逃げろ!ぎゃーっ!」

近くの声。
(土方)「走れ!みんな!」

二十四人、駆け足の音。
(土方)「井上隊の十人は正面から切り込め!
そっちの八人は裏へ回れ!一人も逃すな!」
(全員)「ははっ!」

砂利をけって足音遠ざかる。
アキのつぶやく声。
(アキ)「かっこええわぁ」

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