女神湖伝説(ラジオドラマ)

とても甘くていい香り

水のせせらぎ。滝の音。
木橋を歩むみんなの足音。

(トラ)「きれいな滝だな」
(アキ)「冬は凍るんでしょうね?」
(カズ)「ああ、凍るさ。全てが綺麗にクリスタルの森になる」

変な鳥の鳴き声。急に飛び立つ大きな羽音。
(ヒデ)「何か、薄暗くなってきたみたい」

ふくろうの声。がま蛙の声。
気味の悪い声が不気味に響く。
みんなの砂利を歩く音。

(ヒデ)「もう疲れた戻ろうよ、日が暮れる」
(カズ)「そうだな腹も減ったことだし」

ふくろうの声。奇妙な鳥の声。
飛び立つ羽音。犬の遠吠え。
(アキ)「急ぎましょう!」
(皆)ああ」

砂利道を走る音。
(カズ)「こっちだ」

砂利道を走る音。
(カズ)「あそこに車が見える」
(ヒデ)「もう真っ暗だ」

足音がアスファルトに変わる。
(アキ)「やっと着いたわ」
(トラ)「あー、疲れた」

車のドアを開け、乗る音。ドアを閉める音。
(カズ)「やあ、ひと安心だ」
(アキ)「もう真っ暗。曇ってて星も見えない」

(皆)「ふう(ため息)」
(ヒデ)「・・ジュースあったよね?」
(アキ)「あ、ここ、ここ」
(カズ)「俺にもくれ」

ジュースを飲む音。
(ヒデ)「あー、うまい!」
(アキ)「私にも」
(カズ)「あー、うまかった。トラも飲めよ。ほら」
(トラ)「ああ、ありがとう」

ジュースを飲む音。
(アキ)「あー、おいしい」

トラが鼻で匂いを嗅いでいる。
(トラ)「(くんくん)?」
(ヒデ)「どうしたトラ?」

(トラ)「(くんくん)何か匂う」
(カズ)「えっ!何が?」
(トラ)「いや、すごく甘い、いい香りだよ」

(アキ)「そういえばさっき、ボート乗り場の林の中で
おじいさんが、落ち葉を燃やしていたわよ」
(ヒデ)「それだよ、それ!」
(トラ)「皆は、匂いませんか?」
(ヒデ)「そういえば・・・・・」
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