voice-ヴォイス-



集まっていた人たちは散っていくが、彼は動かなかった。


それどころか海に迫ってくる。




「君、ギター上手いね!!!」


開口一番がそれだった。



海は驚いた。


「いやぁ、君のギター、俺、好きだなぁ。何つーかさぁ、歌い手を気持ちいいくらいに持って行ってくれてる感じ!どこかでバンドとか組んでるの?高校生だよね?もしかして軽音部とかに所属してるとか?」



青年は動揺する海をしり目に質問攻めだ。




海は困った。



海の周りには喋れないという事情を知っている人が多いから理解してくれるが、見知らぬ人となると説明するにも手間がかかる。


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