オトナの秘密基地
カツヤを撫でていた手が、私の頭上に。

そっと、撫でてくれた。


「和実はいい子だ。

お前に会えて、良かったよ」


旦那様は、私のことを自分の子ども、または子孫だと思い込んでいる。

ごめんなさい。

また騙すようなことをして。

正直に言えない辛さと、旦那様をどうしても送り出さなくてはならない切なさ。

眼の奥がじんと熱くなる。


「私も、会えて良かったです」


旦那様の眼を見ながら、笑って言おうとしたけれど、結局涙がこぼれて泣き笑いになってしまった。


「和実は泣き虫だな。

全く、和子の顔で泣くな」


寝ていた私を抱き起こして、ぎゅっと抱きしめてくれた。

私と旦那様とお腹の子は、今宵限りのぬくもりを忘れないように、しっかり抱き合った。
< 130 / 294 >

この作品をシェア

pagetop