オトナの秘密基地
 
「そうだよね!

確かに姪と甥は可愛いけど、大事なパソコンぶっ壊されてもにこにこできるほど、私はお人よしじゃないもん」


慌てて修理に出してはみたけれど、仮に直ったとしても、データは消えると言われた。


「まあまあ、パソコンはまた、新しいのを買えばいいじゃない!

甥っ子くんに怪我はなかったんだし、仕事用じゃないでしょ?」


笑顔でそう言うのは、今や有名菓子店の常務夫人となった、南条園子(なんじょう・そのこ)。

彼女はデパ地下勤務だった派遣社員時代に、テナントとして入っていた菓子店の社長の息子と知り合い、猛アタックの末、三代目夫人の座をゲットした強者。

わざわざ私たちの休憩時間に合わせて、お昼を過ぎたこの時間のランチにお付き合いしてくれている。

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