オトナの秘密基地
打ち込まれたwordの文書は、保存せずにそのまま電源を切っていた。
このPCは、ショールーム用に置かれたものらしい。
時計を見たら、もう一般企業のお昼休憩が終わる時間だった。
中田さんが突然こんな状態になったのを、ショールームの営業さんに知られるのは不都合な筈。
彼は玄関に散らばった盛り塩を手でそっと集めていた。
パンフレットを入れるためのビニール袋に、塩と割れた皿の欠片を片づけ、私の方を向いて口を動かしながら、時計を指さす。
「時間は大丈夫?」
私も頷いて言う。
「今日は休みなの。
あ、今の私の自己紹介がまだだった」
夢での名前は言ったけど、現実の名前を言い忘れていた。