Thanks for XX【六花の翼・番外編】
「素直にならなきゃ、だめだよぉぉ……」
まりあはうつむいてしまった。
テーブルに、透明の雫が、ポタポタと垂れた。
「清良には、あたしみたいな思い、させたくないよ……!」
その声に、こっちの胸が締め付けられた。
まりあは、後悔してるんだ。
あの時、何が何でも瑛についていかなかったことを。
そして、まだ忘れられずにいる……。
「うん……」
あたしは思わず、そう返事をしていた。
まりあは、顔を上げて、
ごめん、とつぶやいた。
「バカな弟だけど、本当にいいやつなの。
見捨てないでやって……」
知ってるよ。
むしろ、見捨てられそうなのは。
あたしかもしれないね。
素直になれない、可愛くないあたし。
あぁ、あたしにまりあの可愛げが伝染したらいいのに……。
まりあは夜中、また東京に帰っていった。
あたしは彼女を、駅まで送っていった。
その間中。
あたしたちは、手を繋いで、歩いた。
神様、どうか。
まりあも、幸せにしてください。
そんなことを、願った。