シュガーレス

初めての屋上は、思ってたよりずっと狭かった。


とりあえず景色を見てみようと、まっすぐ進みフェンスにもたれかかった。


「…綺麗。」


変わり映えのしない、いつもの街並みだけど、
ここからだと何故かとても綺麗に見えた。


しばらくぼんやりとしながら、景色を見ていると、


何か違和感を感じた。


ほのかにタバコの匂いがする。



品川先生、ここまで吸いに来てたのかな?


いや、先生にはちゃんと喫煙所が設けられている。


もしかして…


誰か…いるの?


はっと振り向くが、もちろん誰もいない。



でも、ここの反対側は死角となっているんだよね。


どうしよ…

けど、このままじゃ気になる…


考えるよりも先に、足は勝手に動いていた。


そばまで行くと、死角となっていた壁から顔をそーっと覗かせた。








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