シュガーレス


そんな私の気持ちに気付くハズも無く、先生が言葉を続ける。


「藍川がいなくても、お前にはあいつがいるだろ?」


「え?」


「五十嵐、だっけ?
サッカー部の。」


まさか、先生の口から、五十嵐君の名前が出てくるとは思わなくて、ドキッとした。


「この前見ちゃったー、手繋いで帰ってるとこ。」


「あ、あれは…っ」


そこで口をつぐんだ。


あれは、私が無理やり腕を引っ張って歩いただけ…


だけど、そんな言い訳する意味が無いって気付いたから。


先生にはどっちでも、関係無いんだよね。


「前にお前が言ってた“好きな人”って、五十嵐だったんだ?」


「先生こそ…」


「ん?」


「先生こそ、“百合”って彼女の事だったんだね。」


本当はこの話はするつもりなかった。


だけど

いくら私の気持ち知らないからって、無神経に五十嵐君の事を話す先生にムカついたんだ。


それだけ。


…それなのに、どうしてこんな事になったんだろう。


あなたの幸せまで、壊すつもりは無かったのに。




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