シュガーレス
☆2
美里が昼休みに、奇妙な行動を取った日。
俺のぶつけたボールのせいで、頭がおかしくなったのかと思ったが、そうでは無かったらしい。
美里が帰ってくる少し前、教室に戻ってきた小泉を、取り巻きが囲んだ。
どこに行ってたのかと、詰め寄る彼女たちを、笑顔でなだめるその姿は、まさに学園アイドル。
さっきの黒い笑顔を見たら、みんなどんな反応をするのか。
それには、少し興味がある。
結局、小泉は一言もその名前を出さなかったけど、たぶん美里といたんだと思う。
『…よっぽど好きなんだね。』
さっきの坂本の言葉の意味が、ようやくわかった。