シュガーレス

☆3



「よーっし、上がっていいぞ!」


顧問の立花の声が、グラウンドに響く。


「「お疲れさまでしたっ!」」


今日の練習が終わり、各自部室に戻って行く。


「はぁっ…、はぁっ…」


俺は整わない息をしつつ、身体を解す為に、ストレッチを始めた。


あれこれ考えていた頭がスッキリして、気持ちが良い。


前屈をしている時、フェンスの向こうに知った顔を見つけた。


「あれ…」


「ん?」


同じくストレッチをしていた亮が反応する。


「…あれ、誰だっけ?」


昼間、美里と保健室の前で見かけた女。


そいつが、グラウンドの外でこっちを見ている。


「え?」


亮が顔を上げ、俺の目線を追った。


「あぁ、柊さんか。」


「知ってんのか?」



すると、亮が異常な反応を見せた。


「はぁっ?!
男なら、誰でも知ってるだろーがっ!

2年E組21番柊なぎさ。

俺のクラスにも、柊さん好きな奴多いぜ。」


「ふーん…。」


得意気に自分の情報を披露する亮には悪いが、俺にとってはどうでも良い事だった。





< 162 / 209 >

この作品をシェア

pagetop