シュガーレス
【第9章】ブラックホール
*1
美里と小泉が付き合い始めた。
そのニュースに、校内が一気に騒がしくなった。
朝一番に、私が美里からその報告を受けた時、
素直に喜べなかったのは、美里の表情にどこか寂しさを感じたから。
「ねぇ、坂本さん!」
振り向くと、小泉の取り巻き。
「藍川さんと小泉君って、ホントに付き合ってるの?」
「さぁ…?」
「な?!“さぁ?”って…親友なんでしょ?」
あー、もうウルサイ。
「本人達が言ってるんだから、ホントなんじゃない?他人がとやかく言う事じゃないと思うけど。」
自分の事を棚に上げて、カナ達を諭した。
「〜っ、もういいわよっ!」
思いっきり不機嫌な顔をして、カナ達が去っていく。
ため息をついて、鞄から雑誌を取り出した。
美里はトイレに行ってしまったまま、戻ってこない。
暇つぶしに、ページを読み進めた。
私より遥かに大人っぽくて、綺麗なモデルばかり。
モヤモヤと、また黒い気持ちが出てきた。