シュガーレス
「…ただいま」
美里がぐったりとして、帰ってきた。
「どうした?
早速ファンに呼び出された?」
「不吉な事言わないで…。」
だって、私にも絡んできたもん。
普通、そう思うでしょ。
雑誌に目を落としたまま、ページをめくっていくと、美里が声を上げた。
「ファンじゃなくてー、馨ちゃんっ!
また馬鹿にされたーっ!」
「え?村上先生?」
思わず先生の名前に反応してしまう。
でも鈍い美里は、気付いていない様子で言葉を続けた。
「あれじゃ絶対モテないよねー
女心が全然わかってないっ!」
その言葉に、共感してしまい思わず笑った。
「ほんっと、美里と村上先生って仲良いよねー!」
「は!?」
私の言葉と反応に目を丸くする美里。
「いつも言い合ってるとこ、兄妹みたいだよ!」
「勘弁してよ…」
心外とでも言わんばかりの表情に、更に笑いが込み上げた。