シュガーレス
それは、何の変哲もないごく平凡な日の事だった。
「今度の日曜?」
突然の誘いに、周りが僅かにざわつく。
それだけ、五十嵐君が注目されてるって事なんだろう。
彼が昼休みにやって来た時から、既にクラスメイトの視線は集まっていたもの。
「うん、前に言ってた試合があるんだ。
良かったら、見に来て!」
「えっと…」
周りの視線と、五十嵐君のキラキラした瞳に戸惑っていると、美里がやってきた。
「いいじゃん、結衣!
一緒に行こうよ!
みっちゃんも出るんでしょ?」
「あ?あぁ…まぁ。」
何故か歯切れの悪い三河を、美里が不思議そうに見つめる。
「変なの、調子悪いの?」
1年で唯一のレギュラーなんでしょ?
五十嵐君の話の受け売りだけど…。
「別に。」
…あっそ。
「もう、また始まったー!」
美里がため息まじりに、声を上げた。