シュガーレス


私はこの街に来てからずっと、違和感を抱いている。


この街の人は、温かい。


いつも笑顔で挨拶をかわし、


私を含めた子供たちを、気に掛けてくれている。


だけど、それが余計に居心地が悪かった。


まるで出来上がったホームドラマに迷い込んだ、一視聴者だ。


いっそ、私の存在をみんな知らなければいいのに。


空気みたいに、気付かなければいい。


そして、誰にも知られずに、ひっそりいなくなってしまいたかった。









< 203 / 209 >

この作品をシェア

pagetop