シュガーレス
私はこの街に来てからずっと、違和感を抱いている。
この街の人は、温かい。
いつも笑顔で挨拶をかわし、
私を含めた子供たちを、気に掛けてくれている。
だけど、それが余計に居心地が悪かった。
まるで出来上がったホームドラマに迷い込んだ、一視聴者だ。
いっそ、私の存在をみんな知らなければいいのに。
空気みたいに、気付かなければいい。
そして、誰にも知られずに、ひっそりいなくなってしまいたかった。