シュガーレス


「クラスのね」


「ん?」


「藍川美里。
あの子と特に仲良いの。
小学校から一緒なんだよ。」


「あー藍川か。
…あいつ、確かまだ課題出してねぇな。
お前から早く出すよう言っとけ。」


「えー?
あの子今、心ここにあらずだから〜無理かも!」


「?
あいつ、どうかしたのか?」


キョトンとした先生が可愛くて、思わず微笑む。


「恋だよ。先生」


「はぁ?」



あ、出来たかも。


「ね、これで合ってる?」


さっき間違えた問題を指差す。


「あ?
あぁ…うん正解。」


よしっ!!


「…先生もさ、学生の時は恋をして勉強が手につかない事あったでしょ?」


「ねぇよ」


そう言い放つと、タバコを取り出す。


「それとこれとは、別だろ。」



「そうかなぁ〜。」


「何、もしかしてお前もそーゆうタイプ?」


「んーん、私は逆に頑張るタイプ。」


と、ピースをして見せた。


先生に馬鹿って思われたくないから。


化学は特に勉強して、こうやって質問にも来てるし。
(まぁ会いたいからだけど。)


来週の期末試験に向け、他の教科だって力を入れている。


「あ、だからお前こんなに熱心なんだ。
好きな奴いるとか?」



ズキン、と胸が痛む。


三河に同じ事を聞かれた時には感じなかった、緊張感が走る。


「…いるよ?」


今まで課題とにらめっこしていた顔を上げて、先生を見つめる。




----あなたが好きです。





< 46 / 209 >

この作品をシェア

pagetop