禁断の姉弟愛 ～欺くのはどっち？～

　思いもよらない美沙ちゃんの言葉に、私は目をしばたきながら、「別れちゃったの？」と言っていた。

　私は言ってからすぐ、ストレート過ぎる言い方を反省しつつ、気持ちが顔に出てなかったかを心配した。つまり、にやけた顔になっていなかったかを。


　それにしても和也ったら、なんで美沙ちゃんと別れた事を黙ってるのかしら。あ、そう言えば今までも、彼女と別れた話って聞いた事ないわ……


　逆に新しい彼女が出来た時は、こっちが聞きもしないのに言って来たり、これ見よがしに見せびらかしたりするけども。



「たぶん……そう」


　美沙ちゃんは、そう言って目を伏せた。私の気持ちは気付かれてないようで、まずはホッとした。そして気持ちとは裏腹に、いかにも心配そうな顔を私は作った。失恋した女の友人、かつその友人を傷つけたであろう男の姉の顔を。


　我ながら、なんて嫌な女なのかしら……