一緒に、歩こう
「でもぉ、いいなー。羨ましいよ、芽衣子」
少し酔っ払い気味の香織は、
顔を赤らめながらあたしを指差す。
「どこが…、普通の人の方が羨ましいよ」
「何で?どうしてそう思うの?」
すかさず、紗夜が言葉を入れる。
あたしは言葉に困りながらも、
何とか思いを告げる。
「だってさ、外で会えるし、批判されないし、いいなって…」
「芽衣子さ、そんなこと言うなら彼とは別れなよ」
「え…、」
沈黙が走る。
紗夜はあたしを見ずに
前を見ながらそう言った。
「外で会いたいなら、そういう人を見つければいいじゃない。でも、家でしか、とか遠くでしか会えないけど。それでも一緒にいたいから、いるんでしょ?」
一語一句が耳に、胸に響く。
「批判なんてさ、されてなんぼじゃない。されたら何?別れるの?そんな気持ちで一緒にいるのは、彼にも。それにあんたを好きだった竣にも失礼じゃない?」
失、礼…。
そんなこと考えてなかった。
「矢野…、隼人だっけ?その子はさ、どんな気持ちでいるのか、とか考えてみなよ。あんたいつも言ってんじゃん。見つかりそうになって、ドキドキするんだって。」
今度はあたしを見て、真剣に話してくれる。
「それってさ、あたし芽衣子じゃないから分かんないけど、人目を気にしないっていうか、何か堂々とあんたのこと愛してくれてんじゃないの?」
「堂々、と…」
「見つかっちゃいけない、って。そしたら終わりだって。分かってるけど、でも抑えられないんだよ。好きなのが」
紗夜は、少し涙を浮かべていた。