一緒に、歩こう

不安と期待





その日から。

隼人は勉強に励むため、

あたしとはほぼ学校でしか

顔を合わさなくなった。

夜も休日も、数時間の場合もあれば、

数十分の時もある。

だけど、隼人が本気を出してくれてるって

思ったら、あたしも頑張ろうと思えた。




そして、受験前日。

あたしと隼人は受験が成功すると

いうご利益がある神社に祈願しに

行く約束をしていた。




「隼人だぁ」




久しぶりの隼人に、

思わず声が漏れる。




「久しぶ…っ、」




り、を言う前に。

玄関の前で隼人にキスをされた。




「限界だった。勉強もお前に会えないのも」



思わずにやける。

隼人は、

「笑いごとじゃねぇ」

と少し拗ねた。

またそれが可愛くて、

ちょっかいをかける。




「もう少し、勉強する?」




と、鉛筆で字を書く真似をすると。





「あんまり喋ると、襲うぞ」




と、本気の眼差しで見つめて来た。

遠慮しておきます、と言葉を返し、

あたしは先に車に乗り込んだ。




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