幽霊の思い出話

「そういう知識があるにはあるんだね」

 思わず感心してしまった。

「飼われている動物に憑いている時は知識が得やすかったからな。半径二十メートル以内ならば、その辺の家に入ったりしてテレビ見たりしてたし、字も少しは覚えた」

「そっか」

 出会ってから質問責めだったのは、室外だったからってことなんだろうか。野生の動物からは、知識なんて得られないだろうから。

「とりあえずもう少ししたら高速降りて、家に帰るからね」

「はいよ」

 そう言うと疲れたのか、彼は静かに外を眺めていた。
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