愛染夢路
「気持ちーね」
晴れたグラウンドは少し切ない。
私はフェンスにもたれかかった。
先生のことだろうか…
天宮のことかな…
「高原さん…」
真剣な眼差しで彼女は言った。
それを壊すように
「弥生でいいけ。」
とニッコリ笑っていた。
「私、隣のB組の神埼早紀。弥生に話したいことがあるの。」
何?と今度は真剣に答えた。
「あのさ、島津先生にちょっかいかけるのやめてくれないかな?」
「え?」
びっくりした。びっくりしただけじゃないけど…
「ハッきり言うけど島津先生のことが好きなの私ね。だからちょっかいかけないで!」
ムカッとした。
「…やだよ。」
ポツリと呟いた。なんか…負けたくない気がしたから。
「どうして?もしかして―…」
「1年のときから私、好きだったし。」