ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
(あたしは――あの人に、何をしてあげられる?)

(どうすれば、あの人の苦しみを、溶かしてあげられるのかな)

(どうすれば、あの人を救える?)


ふと、薫さんの声が脳裏に響いた。


(彼女がそのまま死んでしまったから、修復のしようがなかったんだ)


「ねぇ、清水さん」


あたしは衝動的に、清水さんの手をとっていた。


「レイさんがよく着ていたような服ってどんな服か、覚えてますか?」

「服?」


清水さんは眉を上げる。


「うん、タイトなワンピースが多かったかな。黒とか、白の。シンプルな細身の。

どうしたの?」

「今から買いに行きたいの。

……付き合ってもらえませんか?」


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