ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
俺が惚れてしまいそうなくらい」


力強くうなずく。


「……ありがとう。

あの、メイクさんたちにまで協力してもらって、助かりました」

「ああ、気にしないで。

俺もちゃんとケジメつけないと、あの世でレイに顔向けできないからな。

――君は全く、大した子だよ。

こんな機会をもらえて、俺はむしろ君に感謝しなくちゃいけない」


寂しげに微笑む。



(にしても……黒川さんのこと、何て呼べばいいのかな)


恋人だったら、黒川さんなんて呼ばないだろうし。

智弘さん、って呼んでたのかな。

テレビで見た秋月レイさんのイメージを思い浮かべる。


(うん。智弘さん。きっとそう)


あたしはひとり、うなずいた。


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