ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
(何あれ。あんな長いマットもあるんだ)


「あ、ごめんね、ありがとう」


明るい声とともに、あたしに手を振ったのは。


(花粉症さん………)


珍しくお友達と一緒。

お友達はずいぶん年配の、にこにこしたおじさんだった。


ボールを返そうと歩いて行くと、花粉症さんは突然パターをぐいっとあたしに差し出して楽しそうに言った。


「これ、やったことある?

やってみない? 楽しいよ」


(この人……あたしが気を悪くしてるとか思わないのかな)


こないだ、クソつまらない絵だの逃げただの、さんざん言っておいて。


(全く……幸せな人なんだから)


何だか腹が立ってきて、つい挑戦を受けてしまった。

差し出されたパターを手に取って、荷物をちょっと脇へ置く。

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