ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
と、そのとき、年配のおじさんのケータイが鳴った。


「ちょっと失礼……あーはいはい。わかった。

そろそろ晩飯だそうなんで、帰りますわ。

まだ使いたかったら使うといてもうたらええですわ」

「んじゃ、後で田辺さんちに返しに行きますよ」


おじさんはうなずいてにこやかに手を振ると、公園の出口の方へ歩いて行ってしまった。


(あれ、良かったのかな……?)


戸惑いながらおじさんの後ろ姿を見送る。

花粉症さんはそんなことはお構いなしで、人工芝に置いたボールを指さした。


「大丈夫、初めてだったら入らなくて当たり前だから。

ここの面をまっすぐにして、ボールを芯に当てる感じで、こつんと押し出してごらん」


(あそこの穴に入れればいいんだよね)


あたしは、目標の穴をまず確認した。


(ボールを芯に当てる、ね)

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