ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
いつからこうなってしまったのかな。


(そうだ、この人の言うとおり、あの全国美術展の銅賞を取ってからだ――)


あれのせいで、賞を取ることが、認められることが目的になってしまった――

大好きだった絵が、絵を描いているだけで幸せだった絵が、

いつの間にか目的じゃなく手段に変わって――


全然好きじゃなくなってしまった。

なのに、必死で好きだと思い込もうとしてた。


全然いい絵が描けてないのは自分でわかってた。

内なるイメージがパタッと湧いてこなくなっていたから。


嫉妬や名誉欲にまみれた醜い自分がイヤだった。

だけど、絵を描くことをやめることもできなくて。

どうしていいかわからなかった――



ふと気づいたら、涙がじわりと滲んで、あふれた涙が頬を伝ってた。

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