ポイズン
 * * *

彼――正宗様と出会ったのは冬の日だった。

世間では血のない死体――わたしがやった事件の話題でどこも持ち切りだった。

その当時わたしはまだ若かったの。

そこに人間がいたらつかまえて歯を立てて血を吸いあげて空腹を満たしてた。

特に何にも考えなくて、吸血鬼の本能で。

世間がそれで大騒ぎになっちゃって。

その騒ぎが収まるまで吸血行為を我慢してた。

でも、無理だった。

1日我慢してただけでもめまいがひどくて、気持ちが悪い。

でも、騒ぎが収まるまで待たなきゃって。
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