泣き顔の白猫


「四人の共通の知り合いか……」
「高校の同級生だし、共通点は多そうですね」

安本は、顔を俯けている。

「被害者の、共通点……」

そのまま大きな溜め息を吐いたので、加原は思わず、その背中に声をかけた。

「ヤスさん、大丈夫ですか?」
「あ? あぁ、昨日ちょっと深酒しちまってな」
「うわ、ちょっと! そこは残業してたって言ってほしかったー」
「まぁ、心配いらねぇよ、な」
「はぁ……」

わざと大袈裟に振る舞った冗談も空振りで、加原は、それ以上は何も言わずに、背中を丸めて歩くその後ろ姿を追った。

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