スミダハイツ~隣人恋愛録~
「今日の夜、うちに来ないか?」

「無理。生理だし」

「生理、生理、って、この前もそう言ってただろ」

「この前も生理だったんだよ」

「そう何度も生理になるわけねぇだろ」


しつこい。

一度ヤッたくらいで、どうして男ってこう、偉そうになるんだろう。



「あんたに生理の何がわかんの? あんた一度でも生理になったことあんの? ないっしょ? 女のあたしがなるっつってんだから、なるんだよ。知った風なこと言わないで」


滅茶苦茶な言い分で論破してやると、先輩はぐっと拳を作った。

そして、ガッ、とテーブルを殴りつけ、



「ヤリマンのくせに、偉そうに」

「あぁ、そうだね。あたしはヤリマンだし、偉そうだよ。だから、何?」

「そういう態度がムカつくんだ!」

「うっさいんだよ! だったら話しかけてこなきゃいいじゃん!」


もう本当に、腹が立つ。

肩で息をするミサに、



「なぁ、ミサ。仲よくしようぜ」


先輩は急に猫なで声になり、またにやにやし始めた。



「そうツンケンするなよ。なぁ? 今晩、うちに来いよ」


アメとムチのつもりなのだろうか。

先輩は、どうあってもミサを誘いたいらしい。


ミサは息を吐く。



「マジでごめん。ほんと無理。あたし今、気になってる人いるんだよね」


いや、正確に言えば、気になっていること、になるのかもしれないが。

とにかく良太郎のことに決着をつけなくちゃ、遊んでいても気もそぞろだから。


だが、先輩は何を勘違いしたのか、
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