スミダハイツ~隣人恋愛録~
あたしはただのセックスが好きなヤリマンで、もちろんそれは自分でもわかってて。
でも、良ちんはそうじゃない。
良ちんはあたしとは違うし、他のどんな男たちとも違う。
ミサはひとり大学のカフェテリアでうな垂れた。
「ねぇ、ミサ。買い物付き合ってよ」
声を掛けてくる友人にも、顔だけを向け、
「無理。だるい」
ミサは気だるく言った。
あれ以来、何においてもやる気が起きないからだ。
「どしたの? 生理?」
「あー、そうそう。生理、生理」
もうすでに棒読みだった。
友人はミサを誘うのを諦めたのか、「お大事にー」と、早々に去って行く。
「はぁ……」
悩んだところでどうにもならないことだとはいえ、ミサにも罪悪感くらいはあった。
良ちんに謝るべき?
でも、何を、どうやって?
あたしが淫乱でごめんね、とか?
いやいや、それってどうなんだよ。
やはりここは榊に相談すべきなのだろうか。
「ミサ」
また声を掛けられ、顔を上げた。
先輩が、にやにやしながらミサの方へと近付いてくる。