スミダハイツ~隣人恋愛録~
「そりゃあ、お前、こういう時のために、日々リサーチが必要だと思ったからだよ」


偉そうに言う榊。

麻子は半ば呆れ気味に、



「何だか榊くん、いつかこの『スミダハイツ』を乗っ取っちゃいそうね」

「そうだな。それも悪くないかもしれない」


榊は麻子に向き直る。



「だから、な? 俺と結婚してくれるよな?」


麻子は「うーん」と首をかしげ、



「考えとく」

「って、おい!」

「嘘よ。一週間も私を放っておいた人を、ちょっと困らせてやろうと思っただけ」


麻子がこんなやつだとは思わなかった。

榊は苦笑いする。



「まぁ、いいよ。これからのことは、ふたりでゆっくり考えよう」


焦る必要はない。

お互いさえいれば、先のことなんてどうとでもなるのだから。


榊は笑って麻子にキスをした。










END

< 83 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop