スミダハイツ~隣人恋愛録~
「もう二度と離したりしない。だから、いつになるかわからないけど、俺と結婚してよ」
榊にとって、それは、一世一代のプロポーズのつもりだった。
だが、麻子は、
「嫌」
まさかの言葉を口にする。
「え? ちょっ、お前」
ここで拒否されるなんて思ってもみなくて。
っていうか、お前、結婚したかったんじゃないのかよ。
おまけに、俺にここまで言わせといて、そんな、ありえないだろ。
「だって、結婚するってことは、一緒に暮らすってことでしょ? それ自体はいいんだけど」
「じゃあ、何が『嫌』なんだよ」
「ここを出て行きたくない」
確かに、どちらかの部屋に移り住むとしても、手狭すぎる。
だから、結婚してきちんと居を構えるとするなら、『スミダハイツ』ではダメなんだろうけど。
「そりゃあ、確かに、一生ここにいられるわけじゃないし、いつかは出て行かなきゃならないのは、わかってるわよ? でも、やっぱり私、ここが好きだし」
「だったら、俺に名案がある」
榊は拳を作った。
「2階の壁を全部ぶち抜いて、上を丸々俺たちのものにすればいい。そしたらここにいながらにして、部屋は広くなる」
「そんな、滅茶苦茶な」
「簡単なことさ。大家のジジイを脅せばいい。俺はあいつの弱味ならたくさん握ってるんだからな」
榊は「うはははは」と笑った。
麻子はちょっと引き気味に、「弱味って?」と、恐る恐る聞く。
「ジジイは実はヅラだ。あと、嫁に隠れて風俗に行ってる。年金でだぞ? しかも、幼児プレイにハマった所為で腰を痛めたけど、それを庭仕事をしている最中に重いものを持ったからだと嫁には嘘を言っていて」
「どうしてそんなことまで知ってるの?」
榊にとって、それは、一世一代のプロポーズのつもりだった。
だが、麻子は、
「嫌」
まさかの言葉を口にする。
「え? ちょっ、お前」
ここで拒否されるなんて思ってもみなくて。
っていうか、お前、結婚したかったんじゃないのかよ。
おまけに、俺にここまで言わせといて、そんな、ありえないだろ。
「だって、結婚するってことは、一緒に暮らすってことでしょ? それ自体はいいんだけど」
「じゃあ、何が『嫌』なんだよ」
「ここを出て行きたくない」
確かに、どちらかの部屋に移り住むとしても、手狭すぎる。
だから、結婚してきちんと居を構えるとするなら、『スミダハイツ』ではダメなんだろうけど。
「そりゃあ、確かに、一生ここにいられるわけじゃないし、いつかは出て行かなきゃならないのは、わかってるわよ? でも、やっぱり私、ここが好きだし」
「だったら、俺に名案がある」
榊は拳を作った。
「2階の壁を全部ぶち抜いて、上を丸々俺たちのものにすればいい。そしたらここにいながらにして、部屋は広くなる」
「そんな、滅茶苦茶な」
「簡単なことさ。大家のジジイを脅せばいい。俺はあいつの弱味ならたくさん握ってるんだからな」
榊は「うはははは」と笑った。
麻子はちょっと引き気味に、「弱味って?」と、恐る恐る聞く。
「ジジイは実はヅラだ。あと、嫁に隠れて風俗に行ってる。年金でだぞ? しかも、幼児プレイにハマった所為で腰を痛めたけど、それを庭仕事をしている最中に重いものを持ったからだと嫁には嘘を言っていて」
「どうしてそんなことまで知ってるの?」