秋から冬への物語
必要以上に大きな担任の声に、教室のあちこちで遠慮がちな笑いが起きた。

自分の耳に熱が集まるのを感じながら、立ち上がる。


「四中出身の、槙秋平です。よろしく」


それだけ言ってイスに座ると、ぱらぱらとまばらな拍手が貰えた。


「高校生初日からボーッとしてちゃダメだぞー」


頷きながら曖昧な笑顔を返すと、担任の視線は再び出席簿に戻った。

ひとつ後ろの席の男子の自己紹介が始まる。



あー…

初日からこんな風に目立つなんて最悪だ。
< 3 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop