~境界線~君だけの声が聞きたくて
「また相楽センセイじゃーん!」
「良かったね!ゆず」
ゆずは年上好きで相楽先生の事を、結構気に入っているのだ。
彼氏も1個上の先輩。鈴木剛先輩。
ゆずが剛ちゃんって読んでて、次第に私もそう呼ぶようになっていた。
剛ちゃんと仲のいい、本田ハル先輩になぜか私は好かれている。
前は会うたびに、剛ちゃんと呼ぶ私を見て、俺もハルちゃんて読んで欲しいと駄々をこねていた。
いつも冗談だろうと思っていたが、ハル先輩から一度だけ想いが流れて来たことがあった。
私には特殊な能力がある。
それは、人の気持ちや感情をたまにキャッチしてしまい、頭に流れ込んでくる。
でも、毎回じゃないし、想いの強さによったり、よらなかったり…
正直、自分でもよく分からないのだ。
それに何でか分からないけど、レオの気持ちだけは読み取ったことがない。
1番知りたい人の気持ちが読めないなんて、皮肉なものだと思う。
だから時々、すごくすごく、不安になる時がある。