僕の人生はフィクションのように
親友と僕
「淳史…お前が死んでもうすぐ1年か。あの時すっげーやる気になってたお前、嫌いじゃなかった」

和宏は墓の前に立ち、切なげな瞳で、しかしクスリと笑いながら俺の名前を呟いた。
こうやって俺に会いに来たのは葬式以来だった。

「やっと、書けたんだ」

和宏はバッグから紙の束を取り出し、そっと俺の前に置いた。

「何のやる気も無かったある若い男が、会社も辞めて昔から憧れていた舞台俳優を目指す話なんだ。その若い男の友人は小説家を目指していて、後に互いに夢を叶える。そして彼らが40歳になる頃に、小説家のヒット作品が脚本化され、主人公はその主演に抜擢される。そんな話。…どっかにありそうな話だよなぁ」

そこまで言い切って、和宏は下を向いた。

その瞬間小粒の雨が滴った。

一瞬涙のように見えたものが何なのかは分からなかった。
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