狼先輩。


それから、他愛ない話をして、学校に着いた。


下駄箱で靴を履きかえていると、



「あ、ことりちゃんだ。おはよ」



と声を掛けられて、ビクリと体を震わせてしまった。

……この声は、大神先輩だ。



ゆっくりと顔を上げると、そこには相変わらず爽やかに微笑む大神先輩がいて。


「……おはようございます」



どうしよう……。


昨日のキスを思い出しちゃうよ……。


「西村もおはよ」


「おはようございます」


私の隣にいる西村くんが軽く頭を下げたとき。



「あっ!皐月っ、おはよ〜っ!」



千沙先輩が現れた。


大神先輩の近くに歩み寄っていく。



「皐月、数学でわからないところがあるの。教えて?」


「うん、いいよ」



千沙先輩の甘いおねだりに、先輩は笑顔で返事をする。


< 161 / 362 >

この作品をシェア

pagetop