狼先輩。
それから、他愛ない話をして、学校に着いた。
下駄箱で靴を履きかえていると、
「あ、ことりちゃんだ。おはよ」
と声を掛けられて、ビクリと体を震わせてしまった。
……この声は、大神先輩だ。
ゆっくりと顔を上げると、そこには相変わらず爽やかに微笑む大神先輩がいて。
「……おはようございます」
どうしよう……。
昨日のキスを思い出しちゃうよ……。
「西村もおはよ」
「おはようございます」
私の隣にいる西村くんが軽く頭を下げたとき。
「あっ!皐月っ、おはよ〜っ!」
千沙先輩が現れた。
大神先輩の近くに歩み寄っていく。
「皐月、数学でわからないところがあるの。教えて?」
「うん、いいよ」
千沙先輩の甘いおねだりに、先輩は笑顔で返事をする。